診療報酬改定や消費税率改定とだいまる薬局

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今年2010年は、二年に一回のいやな行事である診療報酬の改定(+薬価の改定)が行われました。

薬の仕入れに関しては、この後、卸(問屋)さん各社は足並みが揃うまで積極的に行動は起こさず、もしかして今年一杯かかるかのような牛歩戦術(古い)で価格交渉が始まるのです。

そもそも、薬価は公定価格で、その価格に基づいて保険請求をします。
その仕入れ価格はある程度の幅で自由競争が行われていますが、さすがにお役所はしっかりしています。問屋が価格を下げられるなら、メーカーにもその余力があるのだから、という事で販売価格の調査が行われ、標記、二年後に、また、薬価改定と相成ります。実質公定価格の引き下げですから、期間が二年間という長さであるだけで、それは、いたちごっこのような具合です。

しかしながら、だいたい、品物が「薬」であるというだけであって、メーカーや卸さんがするのは商業です。
値引きや、価格交渉という戦術は当然アリですよ。
買う側(だいまる薬局)は、安く買う事で、社会貢献する事につながるわけです。会社の存在意義であるところの利益を出すことにもつながります。

で、調子に乗って値段安く買い叩いていると、卸さん各社は、今年は、薬価がコレコレ下がったので、もう価格は出せません、などといってくる。

めぐりめぐって考えると、俗に言う 『 薬価差益 』 は出すな、という指導でもあるのかな?と思ってしまうほど筋が通らない話に聞こえるのは私だけでしょうか。いや、筋論だけではなく、実際たいへんなんですよ。

食品には、製造年月日や、賞味期限があるように、薬にも使用期限があります。
使用期限を無視して使っているところを除けば、厳密に管理されているわけです。だいまる薬局もこのルールは厳密に適用しておりますが、食品が期限切迫してくると格安セールができるのに対し、薬は、それはできません。あくまで処方箋の受付次第ですから、もし、最小包装が100錠のものを仕入れて、14錠(一日1回、14日分)しかでなければ、もう、どうしようもないのです。

簡単に考えて、ください。

薬価(公定価格)が、100円のA錠(最小包装100錠)を、問屋さんから、10%引きで買ったとします。
この仕入れは、100円X100錠X0.9X1.05(現在は消費税5%)=9450円
消費税は購入時、外税であるため、実質値引きは、この場合5.5%引きになります。
(いまどき、食品でも洋服でも、5.5%引きなら誰も見向きもしないのに!です)

14錠 使いましたので、保険薬局であるだいまる薬局では、国保や社保の保険から出して下さい、ということでレセプト請求をします。その金額は、14錠X100円=1400円 です。
請求月の二ヵ月後に支払い基金から入金になります。
買ったときは外税である薬は、保険から入ってくる時は内税です。

さらに問屋さんには、その一月後に、9450円支払を済ませますが、在庫は86錠残っています。

このまま、うっかり使用期限を迎えてしまったとしたら、このA錠は、14錠を9450円で買って、1400円回収したことになり、9450-1400=8050円の 。(金利は考え方に入っておりません)

実際には、仕入原価があって、販売価格(技術料と呼ばれる診療報酬体系)があります。その差が利益となるべきところ、なまじ薬価というものが存在するためにうっかり判断を誤ると利益なんか全く吹き飛んでしまう。
私たち薬局経営者からみれば少しでも利益の緩衝(バッファー)になってくれたらという思いで薬価差を見ています。

さて、昨今消費税論議が盛んですが、100万歩譲って10%の消費税率はしょうがない、ということにしましょう。

そこで、先のA錠にもう一度登場していただきます。

薬価(公定価格)が、100円のA錠(最小包装100錠)を、問屋さんから、10%引きで買ったとします。
この仕入れは、100円X100錠X0.9X1.10(将来の消費税10%)=9900円
消費税は購入時、外税であるため、実質値引きは、この場合1.0%引きになります。
(いまどき、さあさあ、寄ってって下さい、買ってってください、本日限り1.0%引き!どうですか旦那さん!、いかがですか奥さん!)

それ、買います???? 購買意欲ががた落ちですって。

商売するときに材料を安く買うことは、そんなに悪い事でしょうか。リスクを少しでも軽減しようとする事はソンナニ悪い事でしょうか。悪いヤツラは今までたーっぷり甘い汁を吸って大きくなってきたのではないかなと思います。4桁万の外車に、クラブで豪遊です。

だいまる薬局では、この2010年6月、大手の調剤チェーンしかできないかもしれない投資を、すこしがんばってやろうとして調剤監査システムを導入しました。

そんな投資の原資はズバリなんでしょう? 

利益を出すということが悪のように思われる風潮がはびこる中、利益をつかって患者さまにできる事があるんだという事を示したいものです。

せいぜい導入した機械に使われる事が無いように、がんばらなくてはいけません ( 笑 ) 。