薬剤師の面接

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転職を考えている薬剤師諸氏の方々のなかには、いかに自分が仕事のスキルがあって、経験があるか、を滔々と述べる才能に恵まれた人が多いという話を聞きました。

自分が、いかにすばらしい才能の持ち主で、いかに患者さんとのコミュニケーション能力に長けているかという風呂敷を広げるものだから、ある社長さんは、とある女性薬剤師を高給で雇い入れました。

彼女は、調剤室に着任するなり、
この機械はだめ、
この器機はだめ、
このやり方はだめ、
あのやり方はだめ、
挙句の果てに処方箋の書き方がだめ、
医師の処方の組み立てがだめ、

と言い出す始末。

このとき、その社長さんは初めて気がついたといいます。

私が薬剤師じゃないから、仕事ができる人を選んだつもりで彼女を雇い、何もかも任そうと思ったのだが、これはちょっと間違っていた。
任せていたら、処方箋が来なくなる。
自滅する恐怖を感じた、と。

結局、この女性薬剤師さんには、お辞めいただかざるを得ませんでした。

さて、
人を選ぶ観点で、大事なのは、いつもいっしょ。

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性質穏やかで、
周りと協調できて、
オレがワタシが、としゃしゃり出ず、
冷静沈着な判断ができ、
素直なへんじと気持ちよい挨拶ができ、
家庭生活が安定していて
自分よりまず人を立てられる
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このように、『 仕事のスキルとは関係ない部分 』 が一番大切なんだってことです。

上記のような方は、Gパン、スリッパに T シャツで出勤したり、ピアスやコロンをつけたりしないものです。

人事の問題としては、薬剤師であることが大前提ですが、
『 プライド高くて性格悪い薬剤師 』、よりも『 免許はないけど、免許にかかわらない部分で、穏やかで冷静沈着な普通の助手さん 』 がいた場合、
組織全体としては、後者のほうがはるかに有意であることがあります。

?

薬剤師よ。
ほんとうに免許があってよかった。
薬学部を卒業できたのは、自分のお手柄ではないですよ。
お父さんお母さんに心底感謝しなくてはいけません。

?

そうは言っても、法律で人員の枠が決まっているのが調剤薬局や、病医院の薬剤師の定数です。

そこに付け込んで高給を要求したりしていると、薬剤師バブルがはじけたとき他の薬局から、うちに来てくれ、なんていう声など かからなくなってしまうんでしょうね。
人生長いように思えるけど、実は短くて、
世間は広いと思っているほど、自分は広い世間に生きていない、とうことです。

ワタシは仕事ができる、あれも経験した、これも知ってる、なんてのは、もしそれが本当だったら
重宝がられるのは入職時まで。

それを境に、その性格が災いを引き起こす種になってしまいます。

賢者は歴史に学び、愚者は過去の経験に学ぶ、ということばが適当かどうか熟考していませんが、これを書いている私の気持ちとしては、そんな感じです。