調剤薬局がつぶれた日【2009年改】

none_img_column? ? 2004.06.15

私さとうが、初めて勤務した調剤薬局は、今はもうありません

30歳のとき、初めて免許証を使うことになり、札幌から1時間半ほどの町に住みました。

社長はとても羽振りの良い人で、週に何回もススキノのクラブで豪遊しているという話でした。

初めてその社長と会ったときも見るからに高級そうな寿司屋さんで食事、その後クラブへ連れて行かれましたが、金満ぶりはそこかしこに現れていました。

私はそのとき、若かったせいもあるとは思いますけど、単純に調剤薬局って儲かるんだな、すごいなと、感じました。

車が好きだといって1000万を越える高級車を乗り、そのほかにさらに二台の外車を乗っていたことを思い出します。

腕にはやはり高級時計。

瀟洒な事務所を構えた時代、 時は、まさにバブルの頃です。

調剤薬局に勤めるのは初めてでしたが先輩の指導の下、

  • やったことのない調剤、
  • やったことのないレセプト請求

など仕事も覚えていきました。

そんな中、卸さんから郵送されてくる請求書を目にするころから「あれれ? これはおかしい」と気づき始めました。

いくら世間ずれしてない頃でも…です。

売上と請求書の残高とが、あまりにも桁ちがいなんです。つまり、問屋さんの支払いを先延ばしにして贅の限りを尽くす。まさにそんな感じでした。

私は1年ほどそこにいましたが、その後1年ほどで卸各社が取引しなくなり、(普通の製造業でいえば、原料を調達できなくて操業停止)、さらに追い討ちをかける様に処方箋発行元が、院外調剤を取りやめ、あえなくつぶれてしまいました

院外調剤の取りやめについては、これまた処方もとの医師への不正があってそれを白日の下にさらす事件があり、もうめちゃくちゃです。あとに残ったのは確か、問屋さんの一億を超える残債とリース物件の残高について保証人への転嫁だったと思います。

調剤薬局は、ガラス張りの経営だといわれますが、払うものを払わない経営で得る生活・贅沢、とはいったいなんだったのでしょう。

二種類の散剤を混ぜていないのに保険請求する混合計量加算、二種類の軟膏を混ぜていないのに保険請求する自家製剤加算、やっていない薬歴管理指導加算、など経営の中身としては実はガラス張りではないところがたくさんあります。保険請求で入ってくるお金がみんな生活費に消えるとしたら、それは確信犯的詐欺ですよね。

  • 企業としての薬局のモラル
  • 人としての薬剤師のモラル
  • 価値観としてそれらを共有できる薬局ができたら

調剤薬局はつぶれないはずなんですけどね…。

20年ちかく前の出来事ですが印象深いものでした。