函館おしま病院ボランティア

 

 

 

 

 

2012年の今でこそ、ホスピスの認知度は高まり北海道内でもその名前を聞くことが珍しくなくなりました。

2002年、函館という地方都市ではたいへん珍しい耳慣れないことばだった「ホスピス開設」を使命として奔走し、その後の10年間でホスピスを医療として文化として根付かせ育てたことは驚嘆に値します。

院長も理念に共感したスタッフも、相当な信念をもっていたにちがいありません。

私たちの恩師の何人かが、ここでその人らしく最期を迎えたというお話を聞き、わたくしは函館におけるホスピス開設が意義のあるものであると確信しました。またその中には、ホスピス開設に尽力した当時の事務長ご自身もいらっしゃいました。 [ ホスピスを作ることに尽力した前事務長の追悼記事はこちら? ]

 

さて、最近フェイスブックに現事務長が紹介してくれた記事があります。画像をクリックしてみてください。フェイスブックではシェアするというのですが引用させてもらいました。

 

 

 

 

今ではホスピスボランティア「ミント」も組織されその活動が紹介されるようになったんですね。

すばらしいことです。

自分の親が、あるいは、自分自身が安心して最期を迎えることができるような場所をつくっていただいたことに感謝します。

はこだて、いいですね。

 

 

 

医療法人敬仁会 函館おしま病院理事 長浜さん

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7年ほど前の2001年、現函館おしま病院理事 長浜康平さんと初めて会いました。渡島病院から、函館おしま病院へと組織が変わっていく過渡期でした。

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現院長の 「 ホスピスを函館に作る 」 という強い想いのもと、長浜さんの果たした功績は、あまりにも大きく、あまりにも素晴らしいものでした。

私がかかわったのは枝葉のほんの切先にすぎませんが、長浜さんが関わったのは、大きな幹の部分でした。時にうらやましくも、自分にはできない実務でのご活躍でした。

事務長として、どんどん辞めていく旧職員の退職金の手当てや、病院組織の改革、病院機能評価受審の準備、補助金の交渉などなど、その忙しい仕事ぶりは、将来へ道筋をつけるという信念があればこそ成し遂げられたものだったと確信しています。

体調を崩した連絡があり、先日、5年ぶりにお見舞いと称して、お顔を見ることができました。

私がお見舞いに向かったのは、ご自身がバックアップして作り上げたそのホスピスです。

開口一番、『もっと前にはいっておけばよかった。自分がかかわったホスピスに入るのは、はばかられた。
でも体調が本当につらかった。 病院の理念『 癒し癒される心からの医療』については、自分がこのホスピスに入って、はじめて 「 癒される 」 、ということがわかった。 』 と、こうおっしゃいました。

前日まで、痛みで食べ物も食べられず起き上がることさえできなくなっていたのに、このホスピスの痛みをとる技術、癒しの心は本物だ、と手放しの褒めようでした。
実際、長浜さんと話ができた小一時間の間、満面の笑みを通してくれました。
その笑顔は、快復への少なからぬ期待を感じさせるものでした。

癒されたのは、こちらかもしれません。
その長浜さんが、
本日 2008年7月23日水曜日 眠るように息を引き取られたという連絡が、先ほど入りました。

謹んでここにご冥福をお祈り申し上げます。

長浜さん、お疲れさまでした…
ゆっくりお休み下さい。

2008.07.23

医療では誰が顧客か

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ずっと疑問に思っていたことでした。

 

サービス業ではお客さまがいて、お客さまに思いを馳せてあれこれと動く。

これが普通の話です。
医療だってサービス業ですとは言ったもののお客さまって誰のことなんだろう。
そんな事がわからなかったんです。

試行錯誤の中で、「お大事にどうぞ。ありがとうございます。」
と言ったこともありました。でもなんか変でした。

私としては、数ある調剤薬局の中からウチの薬局を選んでくださってありがとう、というつもりでしたが、患者さまが具合悪くなって病院にかかって、院外処方箋をもらって調剤薬局へ行き、そこで「ありがとう」では、

『私が病気になってつらいのに、この白衣を着た薬剤師はニコニコしながらありがとうといっている。これではまるで自分が具合が悪いことでコイツを喜ばしているみたいだ』

と思われても不思議がないことなんですね。

そんなとき、ある勉強の場で、「患者さまは、つらくて病院にかかるわけですから、やはりお客さまではありえません。顧客はその患者さまを取りまく周辺の人々です。」と発言された看護師さんがいて、私は今までの疑問が氷解するような思いがしたことを覚えています。

患者さまがつらい思いを話してくれたときはつらい思いを共有・共感し、しっかりとその思いに耳を傾けて聴くことを大切なことと教えてくれた友人医師がいます。
まさに病医院と調剤薬局は同じ患者さまに接するわけで、患者さまが主役たりうる環境を作るのは薬局も同じなのです。

ついこの前まで、顧客として患者さまを見てきた自分を反省しつつ今、この文章を書いています。

2003.07.24