医療安全基礎講座2011

2011年6月、国際予防医学リスクマネージメント連盟主催で東京大学で行われた医療安全基礎講座2011に参加してきました。医療における安全をどうやって確保していくかということを主眼に、医療事故を予防、未然に防ぐためのヒューマンファクターを基本的な項目から学んできました。

三日間の座学は時に睡魔と格闘し、終了後の魅力的な宴会をどう過ごすかなど工夫が必要でしたがなんとか無事終了し受講修了証をいただいてきました。

ちょうど去年の今頃にも? 医療安全基礎講座2010? があり、このホームページでも紹介していましたね。一年はあっという間です。医療安全にかかわる講習会は一定規模の病院の場合参加が必須であるようですが多くは自前の費用で参加しているようです。東京で行われる講習会は全国規模での参加を前提としておりいつもその規模に精神的に触発されます。お金(費用)がかかることですが、薬局の経営者、勤務者にとっても参加してみる価値はあるでしょう。自己申告はまだありませんが、ここに示したように、可能性? は否定しておりません。

医療安全研修会にでてきました

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札幌薬剤師会(北海道薬剤師会)主催の医療安全研修会に出席してきました。

会場の都合で、「一施設、一名の参加」という 参加者限定の研修会 は、余裕を持って出かけたのに私が会場についたときにはほぼ満席状態でした。
おかげで、誘導されるままに、だいぶ前のほうに座ることになりまして、振り返ってみると もうびっしりの人、人、人
一施設一名に限定しても、こんなに人(薬剤師)がいるということは、札幌には、なんとたくさんの薬局があるのでしょうか…。

「信頼を得る薬剤師、薬局になるには何年もかかるけど、たった一回の過誤で全てをなくす事もある」という札幌薬剤師会副会長のお話が印象的でした。自分が働く薬局が、一夜にしてシャッターを閉める憂き目を見ないためには、このような研修は必須なのでしょう。

  • 患者さまへの被害を防ぐために
  • 職員の将来を守るために
  • 薬局の信頼を保つために

 

 

研修会の資料からの引用、ですが、事故防止の基本的な考え方は

人は誰でも間違える

ヒューマンエラーは起こるという前提に基づき

  • エラーを誘発しない環境
  • エラーが起こっても事故に発展しないシステムの整備

だそうです。
日常の業務の中で何かひと手間を追加する事で間違いを防ぐことができるなら、それをあえてやってみるつもりです。

研修会で、インパクトのある記事の引用として以下の一部を紹介していました。ちょっと掘り下げて全文掲載します。

 

薬剤師3人の免許取り消し 厚労省、業務停止は15人
2009年12月14日?? 提供:共同通信社

厚生労働省は11日、刑事事件で有罪が確定したなどとして、薬剤師3人の免許を取り消し、15人を3年?1カ月の業務停止処分にしたと発表した。
厚労省によると、免許を取り消した3人のうち、新潟県見附市の薬剤師(44)は、女子高校生に合成麻薬MDMAを譲渡したとして麻薬取締法違反の罪で2007年5月に有罪が確定。
石川県能美市の薬剤師(47)は、処方せんがないのに向精神薬を販売したとして薬事法違反などの罪で、また、岐阜県高山市の薬剤師(58)も、大麻草を栽培したとして大麻取締法違反の罪で、いずれも同年12月に有罪が確定した。

 

MDMAに、大麻に、向精神薬の違法販売… 国家資格をとって、薬剤師名簿に登録されている人がやる事ではないので名簿から削除されても仕方ないですけど、故意ではない事故は、未然に防ぐ事ができるものは極力排除していかなければいけません。
せっかくの免許を取り消されたり、業務停止になったり…。
お父さんお母さんに顔向けできないじゃないですか。
自分ひとりで免許をとったとは決して思わないことです。

こんなにも重い責任を負っている 『 薬剤師 』 。
本当は経営者が悪いのに、その薬局の管理薬剤師が行政処分をされる事例を過去に見聞きしました。
こんな事が起こるのは、管理薬剤師が非薬剤師経営者たる者と、経済的にも社会的にも独立していないから、です。
「薬局を経営するのは、やはり薬剤師でなければいけない」のではないでしょうか。
薬剤師である、だいまる薬局の経営者としては、そう思います。

 

第五条(相対的欠格事由)

次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

一  心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二  麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三  罰金以上の刑に処せられた者
四  前号に該当する者を除くほか、薬事に関し犯罪又は不正の行為があつた者

第八条(免許の取消し等)

1、薬剤師が、成年被後見人又は被保佐人になつたときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。
2、薬剤師が、第5条各号のいずれかに該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。

  1. 戒告
  2. 3年以内の業務の停止
  3. 免許の取消し

ある薬局にて買い物

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昨日(2009年6月22日)、受け取った処方箋には当薬局で扱っていない薬が処方されていました。こういう場合、各薬局で零売といって小分けして融通し合うことがあります。

この薬品の種類には、

  • 軟膏
  • クリーム
  • ローション

の三種類があって、それぞれ、容量が違っています。
さらに旧包装品もまだ流通していて、軟膏に「軟膏」の文字無しクリームに「クリーム」の文字無し、という厄介な商品です。
重さについては、軟膏は25g、クリームは20gです。今回は軟膏を買いに行きました。

そこで渡されたのは、実は、クリームだった、というのが今回のお話です。

買い物から戻ってきてから、その事を先方の薬局に電話し薬剤師を指定した上で伝えましたが、その薬剤師は開口一番、「 20gという連絡を受けてます。20gとおっしゃいませんでしたか?? 」というではありませんか。

だから、20gでも、25gでも軟膏といったら、軟膏渡すのがマナー(!)というものだろうよ。心の中の口調(かなり小心モノ)も思わずぞんざいになりますね。

耳を疑う事になりますが、この薬局では、軟膏とかクリームとかの区別ではなく重さで区分けしているというのです。

調剤過誤とは調剤にかかわる一連の流れの中の事故ですが、薬剤師対薬剤師のやり取りは事故じゃないのか?というと業界人同士のやり取りですから事故とはいえず、どちらかといえば、恥ずかしい分類になります。

恥を知っている薬剤師なら、まず「ごめん」、とか「すいません」、とか「失礼しました」とかコミュニケーションをとる言葉が出てくるはずなんですけど。

近年、珍しい事例でした。

自分の非や過ちを認めるのってそんなに難しい事じゃないと思うのですが、まだまだそれができない自分がかわいい楽剤師、いるんですね。変な人がたまたま薬剤師免許もっちゃったのと同じ事ですよ。

何事も形から

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水泳も、ゴルフも、自転車も、スポーツを我流でやるヒトと、習ったり研究したりしながらやるヒトでは見ていて印象が大きく違います。

スポーツはある形があって、型をしっかり押さえている人は傍から見てカッコいいのです。

しぐさや、身のこなし、周りとの調和など、手順やマナー、フォームなどを確実に自分のものとしていることで、上手だね、きれいだね、ここちいいね、という、いわゆるオーラを出すのではないかと思います。

 

実は、薬剤師や薬局スタッフの仕事というのも、この形、型を押さえることがとても大事なことなのですが、皆さん気づいてますか??
たとえば、患者さまに薬を出すとき、薬剤師「印」の押し方、「 輪ゴム 」のかけ方、分包紙の「 たたみ方 」、それに見合う袋の形の選択、袋の口のたたみ方、袋のそろえ方、外袋に入れるときの所作、外用剤や軟膏チューブを袋に入れるときの向き、お金をいただくとき、おつりを差し出すときの所作。
お大事にと送り出すときの声をかける自分の姿勢。—>送り出される人は見てませんが、待合室で次に渡される人は見ていますよ。。。

習って(習えば)できることを、習って行なうだけというのは、マニュアル主義であり、私は、あまり好きではありません。

最低限、それらは自分でできるようにし、さらに 『 頭で考え 』 て一連の流れを想定し、きれいに差し出す、きれいに行なう、よどみなくリズム感をもって行なうのがいいのかなと思います。

一連の流れを一つ一つ確実に行なう、ということは、間違いを大幅に減らします
これが 『 何事も形からの真髄 』 ではないか(笑)と思いますが、いかがでしょうか。

薬剤師や薬局で働くスタッフは、全て患者さまから、発信される情報をいつもキャッチできるようにしておくことが必要です。
ファーストフードのアルバイトのように相手を質問攻めにしても、得られるものはわずかであるだけでなく? ?『 もういいからさっさと薬をよこせ !? 』 と言われかねません。
ま、実際に、そんな声を聞きますので他人事 (ひとごと) ではありません。

むかし、スーパー? ( コンビにはまだ無かった頃 )? が台頭して、ボックスティッシュをどんどん安売りしはじめました。それでも、お得意さまは、私の実家の薬店からティッシュを買ってくれました。
お客さんが、「 お宅のティッシュじゃないとだめなんだ 」 といってくれたという話を聞きました。
( ☆ もちろんティッシュに差はありませんし、値段が勝負となるのは時間の問題でしたが… )

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さて、【 だいまる薬局さんじゃないとだめだ 】 と思ってくれる人がこれから出てくるかどうかは、毎日が勝負です。

そう考えたら、

  • 錠剤をとめる輪ゴムの斜めがけや、
  • 口から分包紙がはみ出した薬袋を患者さまに渡せるかどうか !
  • 薬剤師調剤印を薬袋の四角い印鑑枠から大幅にはみ出して押せるかどうか。

よく考えて仕事したほうがいいと思います。

何事も、美しい 形から ですから。

2007.09.15

レジのお金が合わない事から思うこと

none_img_column? (記事の引越し中です) 2007.03.26

大きな病院と、だいまる薬局のような小さな調剤薬局を比べて、際立って違うのは、医事会計が独立しているかどうか、という事だと思います。

その規模にもよるのですけど、大きな病院の場合は医事課に受付機能と会計機能を専任する職員を配置し、さらに調剤専門の機能を持たせた薬局 ( 調剤所 ) を持ちます。
この人員は相互に補完することはなく、それぞれ独立した部署として存在するのが普通です。
私たちの調剤薬局の場合は、受付、調剤、投薬、会計など複数の業務をスタッフみんながこなし、カウンターの内側でぶつかり合うように仕事をしています。

事務スタッフは、あれもやり、これもやり、かなり大変な仕事だと思います。

もちろん薬剤師も調剤全般をやって投薬し、レジを打ってまた調剤監査に戻るなど、気ぜわしいことこの上ない様子をみせます。

調剤薬局なんてしょせん処方箋と薬の交換所だと思われがちで、事務員1-2名、薬剤師1-2名でまずまずの仕事ができるだろうと考えられるのは、とても心外でありつらいところです。
だいまる薬局の人員は常時、事務3-4名・薬剤師3-4名です。

『 ずいぶんたくさん人がいるんだね? 』 と言われる事があり、ほめられているようであり、意外だなーと思われているようでもあり、複雑な気持ちになります。
「 どうしてそんなに必要なの ? 」 というのが本音の質問ではないでしょうか。

さて、最近(2007年)、だいまる薬局では日次集計の際、レジのお金が、数十円から数百円円くらいの範囲で合わない という事が立て続けに起きました。

これに対して、事務スタッフに負担がかからないかを判断した上で、レジうちを事務スタッフに変更。
その後は、ほぼレジのうち間違いや、おつりの受け渡しの間違いをなくすことができたようであり、日次集計の金額が当然のように合うようになってきました。

私は調剤薬局の経験がこれまで14年ほどになり、手提げ金庫時代も含めてレジで現金をやり取りすることに抵抗がなくなっておりますが、間違えないという自信はありません。

たかがレジの事がきっかけですが、何か考えなければいけないという漠然とした予感めいたものはありました。

  • 違算は薬剤師のミス ?
  • スタッフの間の風通しはいいのだろうか ?
  • みんな声をかけあって仕事してるだろうか ?
  • 仕事が形式めいた作業に成り下がってないだろうか ?
  • 失敗やミスが糧になっているだろうか ?

などなど。。。
少し話を変えますが、私は、薬局の事務スタッフと薬剤師の違いは、
薬剤師は、調剤監査をする職能をもつ事と、薬歴をとりその管理をすることにあり、そのほかの部分の仕事は、免許があるなしに関わらず薬局内の仕事としてやるべきことを分担していると考えています。
( だいまる薬局の場合は、レセプト業務と処方箋の入力は事務スタッフに100%対応してもらっています )

つまり、お金に関することでも、薬が足りないという問い合わせが来たとしても、患者さまのためにこの薬局が存在している以上、同じ次元で対応しなければいけないと思っています。

同じ次元とは、いつも患者さまのためにどうすればよいかという視点にたちながら、待たせない方法で、満足のいく方法で、確実な方法で、検討して決断しなければいけないということであり、これは薬局の屋台骨です。

この視点には薬剤師と事務スタッフの区別があってはいけないし垣根があってもいけない。

ただひたすら患者さまのため、というベクトルを合わせた行動や言動が、必要なことだと思いますし、ベクトルの先に患者さまがいるという事を絶対忘れてはいけないということです。
日々の私の言動や、行動が裏付けるものでなければそれこそ絵に描いた餅ですので自戒しなければいけないところです。

2007.03.26