魔の五分

none_img_column  2006.06.26

高校の時、体育の授業でサッカーを習ったとき、教えてくれた先生が言っていました。

サッカーには「 魔の五分 」というものがある。
点が入る(入れられる)のは開始直後の五分と、終了間際の五分だと。

この先生のおかげで、サッカーのルールでわかりにくい『 オフサイド 』もよく理解できましたが、それ以上に、この「 魔の五分 」とは、我々の仕事である調剤にも大いに当てはまります。

つまり、間違えやすいのは、自分が監査台に立った直後の五分と、「 あー今日もそろそろ終わりかな 」と思う直前の五分? (? 終了間際の五分? )? であるということです。
途中小休止をとったときでも、次に調剤・監査をし始めた五分というのはなかなか慎重にならないとキケンがいっぱいです。

レセコンの入力も、錠剤ピッキングも、バラ錠の補充も、いっしょです。

ヒトというものがいかに間違いを犯しやすいかということは身をもって理解しています。

医療機関において、本当に忙しい時間 ( 次から次へと監査をこなす時間 ) よりも、昼休み前後や、午後の診療受付が始まる時間により多くの種々の間違いが発生しているというデータを見たことがありますが、まさにその通りだと思います。

「 魔の五分 」にしてやられないように、その時間は、ヒトは間違いやすいということを再度認識しておこう、というのは、数日前の朝礼の話題でした。
2006.06.26

調剤過誤を防ぐ基本

none_img_daimaru??? ? 2004.07.13

私は自分自身で調剤をするにあたり、いろいろな間違いをしてきましたし、いろいろな間違いもまた、みてきました。
薬剤師をやっていて間違いをしなかったと豪語する人はいても(悲しい勘違い)、間違えそうにならなかったという人はいないだろうと思います。

  • うっかり間違えること
  • 調剤過誤
  • ヒヤリハット

どれも、違いは紙一重ですし、それほど私たち薬局で働く人にとってはある意味身近なことです。

どうしたらその間違いをなくすことが、また、ゼロに限りなく近づけられるかということにみんな腐心するところだと思います。

科学的な根拠はさておき、だいまる薬局では整理整頓がまず「いの一番」の基本、だと思っています。

倉庫や書庫、薬歴の棚や、薬品庫などが汚れ、整理されていなければ、その薬局は限りなく間違いに近いところにあるといっても過言ではなかろうと思います。

綿ごみ、抜け毛がたくさんの床…。いままでたくさんのそのような、あるいはそれに近い薬局を見てきました

誰かがやる?

そうなると、もはや誰も片付けません。きれいなものは維持しようとするけど、坂道を転がった状態は、なかなか元に戻せないのです。

今日の朝礼では、 「 棚の薬剤の向きをそろえようという(一見どうでもいいようなことを)意識しよう 」 という話をしました。でも、それが基本だと思います。薬剤名の取り違え、思い込みを防ぐ大いなる手段にもなると思います。

『整理・整頓』
几帳面であれ、とはいいませんが、意識をそこに向けてみたら調剤過誤のほんのいくらかでも、防げると思っています。

薬局への苦情を小耳にはさみました

none_img_column? 2004.03.26

面と向かっては、なかなか言われないことでも、投書や薬剤師会や保健所への苦情という形になって表に出てくるということはあります。

先日、新聞にこんな投書が出ていました。

要約するとこんな感じです。

『いつもいく薬局に喫煙コーナーというものがある。扉がなく、その煙が待合室内に充満してくる。職員に扉をつけるとか工夫してと苦情を言うと、わかったようなことを言うが次回またその薬局を利用したときに何一つ変わっていなかった。
そもそも薬局には喫煙コーナーは必要ないのではないか。私はその薬局を利用するのをやめ違う薬局で薬をもらうことにした。』
というものです。

非喫煙者の私はとても共感できましたが、患者さんのみならず薬剤師・薬局事務員は男性も女性も喫煙するヒトはとても多いように見うけられます。
患者さまに対しては、健康に悪いといっているにもかかわらず、当の本人たちが喫煙、ということではかっこ悪いですね。

もうひとつ。

昨日聞いたばかりの話題です。
ある薬局出の出来事。子供さんの薬で、倍量出してしまった。さらに入れる袋も間違えていた、というものです。もちろんあってはいけないことですが…ありえないことではないのです。

問題は、この後に始まります。

つまり、ここからの患者さまへの対応が事の大小を分けるんですが…、
当の責任者(薬剤師)が患者さまの保護者の方に言うには、調剤した薬剤師が、

  • 誰かに話しかけられたから間違えた、
  • さらにこのことは絶対口外しないよう内密に願いたい

と言ったというのです。

親御さんは憤慨してこの薬剤師の免許を剥奪するにはどうしたらよいかと薬剤師会に相談してきたということです。

初期対応を誤ると、話はたいへんこじれます。交通事故と同じように非を認めることが自分の不利になるから謝ってはいけないと、誰かが入れ知恵したものでしょうか。

二つの事例にいえることは患者さまに誠意を持って接してないし、患者さまのニーズの本質を理解してないということです。

薬剤師はホテルマンのようなスマートな対応も要らないし、立て板に水のような上手なトークができなければいけないということもありません。
患者さまが何をしてほしいか考え、今できることを正直に行うという単純なことが必要なんじゃないでしょうか。

ヒヤリハット

none_img_column? 2004.02.10

調剤過誤にいたらないまでも、ほんの直前でいろいろな間違いを見つけることがあります。昨日もそんなことがありました。
錠剤カセットにちがう錠剤を補充したのです。入れた直後に違和感に気づき、もちろん事なきを得ました。

なぜこういうことが起こるのか、起こさないようにするにはどうするか、はたして自分には無関係なことなのか、これらについて朝礼で話しました。
いつ何どき、この悲劇の主人公になってしまうか、その可能性は高く、とても他人事(ひとごと)では済まされません。

『 自分なりの基準を必ず設けてください 』 という話をしました。

動作をするとき、何のために自分がこの動作をしているのかを考えられないような機械的な動きは、間違いを誘発します。
それは、『作業』です。私たちは、『仕事』をしなくてはいけません。

脊髄反射で身体が勝手に動くのではなく、せっかく人間なんだから、脳みそを使って、身体を動かさなくてはいけません。それが仕事です。
少なくとも、頭で考えて体を動かすとき、間違いはかなり減らすことができます。

短時間に、たくさんの患者さまが集中したときにうわずる気持ちを理性でぐっと抑え、頭で考えるトレーニングをしましょうと職員には訴えかけましたが、何度でも、これから同じことを言います。【2009注: いまでも、いつでも言ってます。】

  • あせっても
  • いらいらしても
  • ドンドンと足音大きくあるいても
  • はたまた怒鳴っても

調剤は1分も早くならないばかりか、こんな間違いを起こす可能性は飛躍的に大きくなることを私たちは理解していなければいけません。

じゃがいもをいただきました

none_img_column?  2003.11.04

けっして、あってはいけないことだと思います。

投薬した薬の分包紙の中の一包が、1錠不足でした。

今回は調剤機器の点検中にそれが予測されました。
とりあえず患者さまに電話したところ、まだ開封前だということでしたので、「不安があるので確かめさせて下さい」という話をして車を走らせました。

患者さまのお宅は農家で19時を廻っていたのにまだ作業中であり、忙しい中待っていてくださいました。
車の中で再度点検させていただくと90包中、やはり1個入っていません。

その場で1錠を戻し、患者さまにお詫びをして帰ろうとしたときに「じゃがいも」が出てきたのです。
一度は固辞したものの感謝しながら戴いてきました。

後日、ある尊敬すべき元上司が、
もし自分が調剤過誤を起こしたら 「 舌をかんで死ぬ 」 とおっしゃっていたのを聞き、薬剤師とはかくもプライドを持って調剤にあたらねばならないものかと反省した次第です。

人間は間違いを犯す確率を常に0.2%ほど持っているらしいです。

精神論では間違いはなくならないそうです。(しゃきっとしてやれとか言われますが…)
返すがえすも、患者さまに迷惑をかける間違いはしたくないものです。