会社が無くなる日に思うこと

だいまるコラム

今日は、2017.3.31金曜日 です。

実は、本日は、株式会社だいまる薬局の最後の営業日です。

明日からは、社名が変わります。

よくぞ、13年と11か月、続いたものだと思います。初めまして、の初々しかったことを昨日の事のように思い出します。

開業の案件のお話を聞いてから、開業日まで1か月しかなかったこと

どんどんお金が無くなっていったあの不安感

転機となったきっかけ

人事が二転三転したあの頃

経営が安定してきてほっとした短い時間

自分の経営能力のなさに悶々としたとき

たのしい友の会の旅行

などなど、実に思い出の尽きない時間を過ごさせていただきました。

開業から今までの時間を通して思うことは、本当に周りに助けられた!ということ。自分一人で何かができると思っていた時もありました。でも、わたしは、本当に周りに助けられた。

感謝

感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございました。

先ほど、最後の終礼をしました。

会社名は変わるけど、薬局のスタッフ、中身、理念は少しも変わらない。

すこしだけこの理念を踏襲して、次の会社のカルチャーを早く吸収してほしい。

残るスタッフへの言葉で締めくくります。

ではでは、お世話になりました。

今後は、このホームページは閉鎖しますが、書き溜めた財産は公開できるよう準備中です。

これからも、うんちく、たくさん書きたいな。

会社が無くなる日に、そう思えるなんて、本当に幸せです。

 

じたばたしない

 

 

 

 
過去に勤めていた薬局での出来事。

患者さまが一度に数人まとめて薬局に入ってくる。

やることは、たくさんあります。

  • 受付
  • 引換券の発行
  • 薬歴を出して
  • 処方箋を入力
  • 錠剤・散剤・水剤・外用剤を揃え
  • まとめて監査
  • 投薬して

一人分終了。この流れはだいまる薬局も同じです。

これを受け付けた数だけ繰り返すと、後から来た人は とんでもなく待たされることになるので それを避けるために混んでる食堂と同じく、薬は並行して作っていきます。

そのためには
誰か (ふつうは店長さん) が、俯瞰的に物事の進み方を見て、誰が何をしているかを把握する必要があります。
いわゆる、山を崩す、仕事をしていくわけですね。

ところが、先のお店では、店長さんが浮足立つ。じたばたするんです。

すると、周りが引きずられてそわそわしだします。そわそわはさらに伝搬します。時には患者さまにも。

さて、何が事故を引き起こす原因なのかおわかりでしょうか。患者さまがたくさん一度にたくさん来るから?

誰かに笑われますよ。

店長さんのキャパが低いこと。いいかえると懐が浅いこと。能力が低いこと。

店長さん (あるいは調剤薬局の薬剤師全般といってもいい) に必要な事は、

  1. どんなに混んでも、大地にどっしり足をつけて動じない事
  2. 周りの雰囲気を察する事
  3. 声を荒げない・流れを滞らせない・足音を大きくしない事
  4. あせらない、イライラしない、気ぜわしくしない、肩で風を切らない事

自分ができる人であると自負があるならば、よけいにそうしてはいけない。

ぜひ、他人事(ひとごと)とは思わずいつも「ワガコト」として考えたいことです。

 

最後にわたくしが大好きな 『 清水藤太郎調剤規範 』 をもう一度紹介します。
薬局・薬剤師がどうあるべきかというビジョンを示したものでサービスとテクニカルの両面について記している貴重なものです。

医療の「安全」ということについて

ほぼ毎日、同じことを手を変え品を変えしながら朝礼で繰り返して話しています。

もし、病院という組織が、医療事故を起こしたら患者さんが一時大いに離れ、回復するのに5年以上はかかる。しかしながら、薬局はどうだろう?もし、調剤過誤(調剤事故)をおこしたら、一発廃業。二度と同じ経営で再開することは叶わない。

このことは肝に銘じなければいけません。

年に二、三回東京に出かけて忘れかけたことをおさらいしてきます。先日6月にも医療安全基礎講座をまた聞いてきました。今回は、安全とリスクについてここに書いてみたいと思います。習ったままですみません(笑)が以下のようになります。

[ 安全の定義 ]

  • そもそも安全は存在しない
  • 常に存在するのは危険(リスク)である。
  • 危険をいかに的確に予測し、確実に防止する努力をするかが、安全である。
  • 安全とは一人ひとりが力をあわせて作り出すものである。

[ リスクの定義 ]

  • ある目的に到達するうえで、予期せずに発生する危険性のこと。
  • 便益行為に伴う危険性
  • すなわち、医療事故はリスクそのものである。

何か、医療に係わる事故が起こったとき、原因を考える際「あいつなら」とか、「誰がそれをやったのか」とか、「彼の不注意」だから、と個人のやったことにしがちですがそれは間違っています。事故は、個人の個人的な問題ではけっしてないしそれをやっても防止策には全くなりえないという事です。
わたしも全くこの考えに同感です。私の薬局の運営はこの考えに基づいて危機管理をしているといっても過言ではありません。薬局という労働環境の問題だから、これを解決しないといけない。

つまり、昨今の原発事故にしても多くの報道でわかってしまった通り、経営として、組織としてお金をかけるべきところにかけていない事が事故の根本の原因だということです。

このシステムを使って、全自動錠剤分包機への錠剤補充、散薬装置瓶への散薬の補充、納品時に棚へ包装品を納入する際の検品などにも使っています。

調剤過誤防止システム

すべての錠剤をバーコードで管理

散薬秤量監査システム

全自動散薬分包機

これらの写真は去年から今年にかけて投資した安全対策です。

通常、処方箋を受け付けてから錠剤や外用剤や既製品の散薬などは計数調剤(数をカウントするもの)されます。入力した数値数量に従って棚から取り出すわけですが一番目の写真の端末を使って入力した数・品名が正しくピックアップされているかをバーコード管理します。二番目の写真がバーコードがついた引き出し。今大手の病院ではこの計数調剤も自動化されているようですが弊社のレベルでは過剰投資(ちょっとやせ我慢的ですが)です。
三番目の写真は散薬監査システム。何をどれだけ量るべきか、また、量ったか、を記録します。このデータは4番目の写真の散薬分包機に渡され患者さんの名前情報を含めて印字、分包されます。散薬を図る頻度のことは別にして、軽量の手間が激減し量り間違い、包数の間違いを飛躍的に排除できるシステム構築ができたと思います。

よく薬局店舗に金をかける必要はないという経営者を見かけますが、私は経済的に許す状況なら、それには反対。環境を整えることは士気向上、帰属意識の向上になると思っています。

前の店舗を出た(引越した)のも、とにかくうなぎの寝床のように間口なく狭い、換気が悪くくさい、たくさんのスタッフが昼休みに休憩する場所もない、ロッカーも満足にない、手洗い歯磨きも台所でする、トイレも患者さんと一緒、そんな店舗を作って貸そうとする強欲大家に嫌気がさしたのが理由です。(もっとも、もう一つ大きな理由がありましたがナイショにします)
もし、あのままの環境を放置してしていたら…、経営者として 「 労働環境を放置した罪 」 は重い…という結果につながったかもしれません。リスクマネジメントという観点からは決して放置できないものでした。
#そんな自分を褒めたいと思います(笑)。

さて、話を戻してリスクマネジメント。
わたしが経営者としてスタッフに安全行動をとってもらえるような環境を作った。しかし、その後、私が現場にすべてを任せたよ!では、企業の安全文化は育たないでしょう。危険行動、事故の芽は十分に予測できるはずです。事故を未然に予防する、予測して対策を立てることがとても重要なことです。繰り返し繰り返し、危険についてスタッフ全員の認知を共有させるための方策を考えることが大事だとおもいます。

  • 船場吉兆
  • 赤福
  • 石屋製菓
  • ミートホープ
  • 雪印??? etc.

職場風土、安全文化の崩壊で社会的制裁を受けた企業になるわけにはいかないのです。落とした錠剤に、フッと息をかけて分包するような会社であってはいけない。8年前に書いたこのことが、実践されているかどうか、それをしないことが弊社の文化になっているかどうか…。

最後にもう一度習ったことのおさらいを書きます。

リスクマネジメントの定義

危険による不測の損害を、最小限の予防対策経費で最大の効果を得るための経営管理であり組織として行う安全戦略行為。

だそうです。

仕事は、スキルではない

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医療安全フォーラム2010 in 函館 (2010.5.22(土)13時?17時 市立函館病院) に参加してきました。
当日は、小さな開場でしたが満席。全国から参加者が集まっている会でした。

この日は、私にとっては新しい概念である「メディエーション」についての講演や、実際にメディエーターとして働いていらっしゃる数人のディスカッションなどが紹介されていました。

その中で、お話された言葉でとても印象に残っているものがこちら。

  • 仕事は、スキルではなく、ウィルである。話をするときに、どのように伝えよう、がスキルだとしたら、何を伝えよう、がウィルですというものでした。
    そうそう、そのとおり!技術的なものばかりに目が向いていると、ハートが伝わらないですから。
  • もうひとつ、医療過誤については、経験者、できる人ほど間違いを犯す可能性、確率が高くなる、という話。
    なぜ? できない人、初心者は、周りから積極的にマークされており、大きな間違いが少ない。でも、できると思われている人はどうか? あの人なら大丈夫でしょうという思い込みから関与が少なくなり、結果として、間違いが大きなものになる。
    おお、これは目から鱗(うろこ)的に そのとおりです。
  • 最後に、職場内で人間関係がもやもやしている場合、医療過誤を起こす原因になる可能性は高い。ソコに、今回の「メディエーション」という手法をつかって積極的に対話を奨励してくことで安全文化の醸成が行われる。患者さん中心に、今やっていることが患者さんの為になるか?という問いかけは必要、というものでした。
    ギクシャクした人間関係があると、意思の疎通がとれなくなることはあります。そうそう、そのとおり!

誰から言われたわけでもなく、自分の意思で、わざわざ函館まで出かけた甲斐はあった…、と思います。
仕事は、ウィルです、っていい言葉ですね。

ある薬局にて買い物

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昨日(2009年6月22日)、受け取った処方箋には当薬局で扱っていない薬が処方されていました。こういう場合、各薬局で零売といって小分けして融通し合うことがあります。

この薬品の種類には、

  • 軟膏
  • クリーム
  • ローション

の三種類があって、それぞれ、容量が違っています。
さらに旧包装品もまだ流通していて、軟膏に「軟膏」の文字無しクリームに「クリーム」の文字無し、という厄介な商品です。
重さについては、軟膏は25g、クリームは20gです。今回は軟膏を買いに行きました。

そこで渡されたのは、実は、クリームだった、というのが今回のお話です。

買い物から戻ってきてから、その事を先方の薬局に電話し薬剤師を指定した上で伝えましたが、その薬剤師は開口一番、「 20gという連絡を受けてます。20gとおっしゃいませんでしたか?? 」というではありませんか。

だから、20gでも、25gでも軟膏といったら、軟膏渡すのがマナー(!)というものだろうよ。心の中の口調(かなり小心モノ)も思わずぞんざいになりますね。

耳を疑う事になりますが、この薬局では、軟膏とかクリームとかの区別ではなく重さで区分けしているというのです。

調剤過誤とは調剤にかかわる一連の流れの中の事故ですが、薬剤師対薬剤師のやり取りは事故じゃないのか?というと業界人同士のやり取りですから事故とはいえず、どちらかといえば、恥ずかしい分類になります。

恥を知っている薬剤師なら、まず「ごめん」、とか「すいません」、とか「失礼しました」とかコミュニケーションをとる言葉が出てくるはずなんですけど。

近年、珍しい事例でした。

自分の非や過ちを認めるのってそんなに難しい事じゃないと思うのですが、まだまだそれができない自分がかわいい楽剤師、いるんですね。変な人がたまたま薬剤師免許もっちゃったのと同じ事ですよ。