その投薬は誰がやったのか ?

none_img_column??? 2004.12.09

その投薬は誰がやったのか? ?
株式会社N調剤という会社で働いていたときのことです。

皮膚科の処方箋が出たAさんに、Bさんの精神科の薬を間違えて投薬するという事故が起こりました。

私が経験した最初の大きな調剤過誤でした。患者さまからの電話後、入院の手配、代理人と称する人との交渉、毎日のお見舞いなど多大な労力とお見舞い金などの金銭的な交渉などその後1-2ヶ月に渡って毎日がとても大変でした。

もちろん一番大変だったのはその被害にあった患者さまであったことは言うまでもありません。
この事件は「だれがやったか」? は実は最後までわからなかったのです。犯人捜しの話や、各種の噂ばなしは、ありましたが、本当に誰がどのようにという部分がわからない。

間違いを誰がやったか、という部分はこのようにやったことすらわからない、という状況であることが多いのです。
みんな、もしかしたら自分かも ? という負い目があるのにその確証もない。
いつか、誰かが、必ず当事者になる可能性があるのです。
そのことに気づくと、じつは、その投薬は誰がやったのかを詮索してもあまり意味がないことがわかります。やってしまったことは元に戻らないのだから、次回そのことを「やらない」ためにはどうしたらいいのかを話し合い、考えることのほうが重要になります。
私はこの経験から

間違いを指摘したりすることより間違わない環境を作ることの重要さを考えさせられました

だいまる薬局の朝礼でも何度もこの話題がでました。常に「誰が何をやってしまったか」よりも、「やらないようにするにはどうしたらいいか」また、「明日はわが身であるという教訓をどのように生かせるか。」

薬剤師は、資格があることで、薬を作ることと、投薬することを任されます。

常に間違えることを前提に仕事の流れを作ることで間違いにくい環境を整えていけるのだと思います。

16種類

none_img_daimaru??? 2004.09.17

だいまる薬局の主な処方箋は、精神科の病院から発行されたものです。
弊薬局では、今日現在私たちといっしょに働いてくれる薬剤師を募集していますが 【2009年6月注:現在は募集していません】、 このことで、ひとつ言いたいことがあります。

精神科の処方箋を扱う調剤薬局で仕事をしたことがある薬剤師の中には、一様に、精神科という名前を聞いただけで拒否反応を示す傾向があります。

私も実は苦い経験をしたし、また、たくさん見聞きしています。
たとえば病院さんが処方箋に睡眠薬を書き込むのを忘れたために、患者さまが興奮し、薬剤師のネクタイをつかみ振り回したり、待ち時間の長さにイライラした患者さまがトイレに紙やそれ以外のモノをわざと流して詰まらせ、あふれた水や、それ以外のモノの処理に大変な目にあったこともあります。
患者さんが睡眠薬をよこせと騒ぎカウンターを乗り越えそうになったり、いきなりその場で発作を起こして卒倒したり、泣き出したり。
そんな場面に出会うと、もう精神科はいやだという話になるのも致し方ないかなと思います。

調剤自体についても嫌がられるのはよくわかります。何しろ薬が多いからです。

過去に経験したのですが、薬剤数で25種類もの薬が出ている患者さんがいました。薬の数の多さに作るほうも大変でしたし、飲むほうも本当に大変だったであろうことを思い出します。
私が、その山のような薬を説明したところ、『( 説明は)? いいの、いいの ! これだけ、セデス だけしか飲んでないから ! 』 といわれ、がくっ 〇| ̄|_  ときたこともあります。
注: セデス=当時、主流の頭痛薬

散薬の多さもタダモノではありません、これだけ粉が多いと調剤に時間がかかり待ち時間が40-60分であってもしょうがない、という感じです。
だいまる薬局の数字で 『 16種類 』 というのは、散剤の数です。 今550種類くらい薬がありますがそのうちの16種類。しかもそれらの中には精神科の薬は入っていません。

まず、散薬が少ないのがこの薬局の特徴です。

また、錠剤はほぼ自動分包機で分包されますし、私がこの薬局で調剤したときには、薬の数が、精神科としては圧倒的に少ない印象を持ちました。このおかげで待ち時間は現在も「最大で10分くらい」を維持しています。

しかも、患者さまがとても礼儀正しく、好感が持てます。
病気の特徴として、調子の上下はありますが、先に書いた昔の苦労なんて、だいまる薬局の開業以来(過去1年と4ヶ月以上)、一度も感じたことはありませんし、そんな方にお目にかかることすらできません。
病院さんの対応も患者さまに誠意が見られますし、もちろん薬局に対しても、です。

精神科の処方に対する先入観はいたし方ありませんが、ぜひこの文章がハローワークで公開している求人票をごらんの方の目にとまることを望んでいます。

【2009年注: そんな思いの時期もありました。社長としてカリスマであったり、強烈な思いを抱いているリーダーじゃない限りはヒトのことで悩み迷い続けるのではないかと思います。】