12周年を迎えて

だいまるコラム

2003年5月1日から数えて12年たちました。
よくぞ、持ちこたえてくれたぞ、だいまる薬局。

ひとりではできない事も、たくさんの人に助けられてここまでできたのだと思います。

感謝、感謝。

今の思いは、感謝のひとことにつきます。

毎年、5月1日は、その当時を必ず思いおこします。自分の中の記念日なのです。

そして、崖っぷちに立たった言い知れぬ恐怖感はわすれられません。

 

これからの薬局は、いままでの行政主導の分業からの脱却を求められてます。まずはかかりつけ薬局としての機能に戻ること、そして在宅・居宅業務の推進、さらには病気をつくらない事を目的とした予防医療の機能をもつこと。
言葉ではなんとか書けますが、これを実践しようというのは難しい…。

できない理由を探せば10個くらい簡単にあげられるけど、

できる事ひとつから始めることに異論はないはず。

なんでも、できる方向に考える!これを信条にいままでやってきたんだから、なんとかしていこう。

 

100円を稼ぐということ(2009年改)

none_img_column??? ? 2005.03.29

子供のころ商売をやっている親にから『 100円を稼ぐということがどんなに大変なことかわかるか ?? 』 と言われてきました。

自分が商売をやって、初めてこの言葉の意味がわかったような気がします。

つまり、100円を 「 給料としてもらうこと 」 はたやすいことでも、自分が 「 その100円を稼ぐ ( 得る ) 」 ということは、こんなにも難しいんだということです。

  • 100円を得るための仕組みを考え、
  • 働き、
  • 廻りに気を遣い、
  • 仕入れ、
  • 支払いをし、
  • 残った中から税金を払い、

そして最後に残ったものが「100円」なのです。
みんな、普通にやってることなのですが、大変な思いをしているんだろうな、ということがわかりました。

ちゃんとやってない人も見てきました。
稼ぐけど支払わないという技(ワザ)も実際に見ました。債券を買うとか、不渡りになる小切手を買うとか、こういうふうに使う知恵もあるんだというのを見ました。表の顔がしっかりしていれば、世界に輪を広げる〇◆△クラブの幹部をもやれるんです。

いやー、すごい、すごい。
見聞きした事例に共通しているのは、税金は払わないという方針。

いろいろな方がいますけど、だいまる薬局は、税金をしっかり払います。ちなみに、2005年1月が有限会社だいまる薬局の第一期決算にあたります。

黒字か赤字か ? ギリギリのせんで、大問題でしたが、ある人から 「 会社を大きくするなら黒字を出して税金を払うべきだ 」 ということを教えられました。
また、逆も真なりで、家族経営に徹するならぎりぎり黒字とか、ぎりぎり赤字などと、やり方はいくらでもあるようです。

ただ、私は支払うべきものは支払うという方針をとりましたし、発展させたいという希望を持っていますので、黒字を出すように努力しました。

「 税金の支払い義務を全うせずして、社会的信用なし 」 ということです。

税金を支払うための現金を銀行からおろすことを考えると、胃の辺りが きゅーっ とするのは、やせ我慢の証拠かもしれません。 
もう少し口座に現金を残したい…今日この頃ですし、まだまだ、サラリーマンで「楽剤師」をして、ただただ毎月決まった日に給料を頂いていたときのほうが収入は「 はるかに多い 」のです。

ただ、今、過去との違いを感じるのは、100円を稼ぐ大変さを身につけたら、もっと発展させることができるのではないか ? という希望をもてること、大変さがやりがいにつながるという希望をもてることです。

( 薬局 ) 開業のために必要なもの 2009.1.5改編

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Q: 薬局を開業するには何が必要なのでしょう ?

A: 単刀直入に、資金を用意する前に、 なんのために開業するのかという精神的な動機と、それを維持するための精神的努力が特に必要  だと思います。

その理由を説明しましょう。

「 資金集め 」などと称して、お金を手当てしようとした などという話しは、使う理由も無いままに貯金を始めた、という事に等しいわけで、目的も無しに何をしてもその先にゴールは見当たらないわけです。

開業するに当たり、税理士に相談した弁護士に相談した成功者に相談した、そして資金計画を作ってみた、などといっても、はっきり言ってなんの足しにもなりません()。

そんなことは、走り出してからやることであり、走る前にそれらでよろいを着ることは「 足かせ 」であるし、じゃまな重装備だと断言できます。

挙句の果てに、『 お金に余裕が無いので資金集めに苦労している 』 などというまことしやかな発言を聞くと、その人は、このまま一生お金に苦労するんだろうな、と思い、かわいそうにさえなります。

お金を稼ぐ、ということは、どれだけ苦労することか。

つかうことの何倍もの苦労があるからこそ、お金は大事なものなのです。

開業には当然お金が必要です。
しかし、お金が必要であるということは、お金そのものもさることながら、その人が、お金を身の回りに集められる精神を身につけることが必要だということに他なりません。
成功しようとする人は、お金に好かれているという実感を先に持たなければいけません。

使うことばかり先に考えていると、身の回りからお金がなくなります。
実はお金がその人から離れているのです。

また、給料を貯めて独立なんてことは考えないことです。
貯めてから開業などと思っているとチャンスを逃します。
貯めるより大事なことは、他人資本を使わせてもらえるような自分になることです。

使ってばかりいれば給料だけでは足りなくなり、生活も立ち行かなくなります。
お金が足りない、と精神的に追い詰められ、お金をどうしたら調達できるかなどという事を考えるでしょう。

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そんなあなたには、サラ金がビジネスとしてあります。
どうか、お願いですから!、知り合いから金を借りようなどと思わないで下さい。

もし友人知人から借りたりすれば、どんどん、お金に嫌われるだけでなく、
その大切な友人知人からも嫌われます。
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つまり、このことから、
お金が手当てできないから開業が困難であるというのがうそであるということがわかります。
うそが言いすぎなら、認識のズレとでも言い換えることができましょう。

他人に甘える精神構造こそが独立開業にもっとも困難を与えるのです。
他人に相談して自分自身が安心するという 「 迷惑な行為 」 が開業できない一番の原因です。

ひと、もの、かね

これらは、開業しようとする人について回ります。
高い志(こころざし)をもっていれば自然についてくるものです。
高い志などといっても、たいしたことではありません。
何のためにやるのか、それをはっきりさせておけばいいのですから自ずと必要なものはわかるのではありませんか。

2008.01.16

薬局の開業について 2008. 12. 30改編

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Q:?? 開業計画書はどうやって書いていけばいいのでしょうか。
A: いま、私の手元に、一番初めに融資を申し込んだ「 国民金融公庫 」へ
提出するために書いた開業計画書の写しがあります。

 

  1. 事業内容など
  2. 予定の販売先、予定の仕入先
  3. 必要な資金と調達の方法
  4. 開業後の見通し(月平均)

 

開業計画書は上記のような内容を網羅していくものです。
では、私の開業準備の場合、想像上の調剤薬局開業と、
実際はどう違ったのか、ちょっと検証してみましょう。

 

必要な資金は調剤機器に350万。
+)仕入れや経費など支払のための運転資金に400万、
_________________________________________
合計750万。

調達の方法は、自己資金50万( いかにお金が無かったか おわかりですか )と、
+)国民金融公庫からの借入が700万円で、
_________________________________________
合計750万円。

一見、収支は合ってます(笑) 。

 

【これだけあっても恐怖を味わった】

でも、実際に借りたのは2つの金融機関から合算で1500万円。
自己資金は、カードローンで借りた(笑) 50万円 。
親戚などからの借金が400万円。
_________________________________________
合計1950万円でのスタートです。

【注】
開業1ヶ月に銀行から1000万融資実行。
開業から8ヵ月に国民生活金融公庫から500万融資実行。
開業前(平成15年4月中)に公庫から750万円借りようとした案は、みごとに玉砕しました。

 

【手にできる金額は額面どおりではない】

しかも、借入金は、保証金を引かれて振込まれるということを皆さんは考えたことがありますか?
サラ金などに縁が無かったので、私はそのシステムは、融資を受ける過程で知りました。

1000万円 借りたつもりでも、実際の振込みは 9443731円 になります。

 

【返済は突然はじまる】

また、5/28に借り入れると、返済は6/2からです!

実際には、5/1開業ですから、借入が確定するまでの間は全部持ち出しです。
これは不安です。
きっとお金を借りて何かをやったひとにしか分からないかもしれません。

返済の原資は、通常、利益の中から出します。
でも利益が出てないとか、事業が始まったばかり だとしてもこれは待ったなしです。

  • 店舗を借りるのに、100万円
  • 仲介者へ権利金だといって200万
  • リース代3件の返済開始問屋の支払開始
  • スタッフ給料の振込み
  • 健康保険の引き落とし
  • 事務用品消耗品の支払

などなど出て行くものの多いこと多いこと !

5/1から営業をはじめ、初めて、社保診療報酬支払い基金からの振込みがあったのが7/23。
7/28に国保連合会からの振込み。

うれしいなどと思っている暇は全くありませんでた。

初めて手にした収入はあわせても400万円くらいでしたから
圧倒的に出て行くもののほうが多いわけです。

念のために申し添えますが400万円は利益ではありません。
単なる売上ですから、粗利率30%として考えたら120万円くらいです。
出て行く金額がいかに多いかおわかりでしょう。

収入があるまでに必要なお金、資金、これが運転資金です。

 

【反省の弁】

上記の開業計画書で、器具器械に350万円、運転資金400万円というのは、
全くの方便、夢物語の金額でした。

資金調達についても750万円で薬局経営を開始できると思ったのは、事業に対する、認識不足でした。

どんなに緻密な資金計画をたてても、思わぬお金がかかるのが常ですから、石橋をたたくにしても限度があります。

参考までに、銀行口座の月末残高を書きますね。
もっとも残高が大きかったのは、借り入れた直後の1100万円

6月末 445万円
7月末 516万円
8月末 292万円
9月末 179万円
10月末 191万円
11月末 139万円

残高としては、このあたりで、もうダメ、限界かな?
と思いました。

ただ、8-9月くらいから、扱い処方せん枚数も少しずつ増えてきました。

12月末 458万円
01月末 488万円

入っては出て行く、入っては出て行く、
こういうのを 自転車操業 というのでしょうか。

少しはドキドキ感がお伝えできましたか。
開業計画書は、あまり緻密に書いてもダメだし、
見通しが甘すぎて、
私のようにスリルとサスペンスを味わうのもどうかなと思います。

開業計画を書くときは、金融機関のために書いてはダメです。
あくまで自分の事業のために、むしろ厳しすぎるか ! と思うような気持ちでかかれることをお勧めします。

『 資金ショート 』は、突然来るように思われるかもしれませんが、私の例を挙げるまでもなく、既に、開業を志したときからの積み重ねでやってくるのですから。

2007.05.17

個人薬局を開業したい人へ

none_img_column コラム引越し中です(時系列に整理するのはもう少しあと)

最近、特別思うことがあります。

従来は、新規開業の医者のお隣に、土地を買って建物を建てて薬局を開業するというやり方が一般的な調剤薬局の開業形態でした。
しかしながら、昨今の調剤報酬の改定や、薬価差がこれほどまでに劇的になくなる状況を見るにつけ、いままでのやり方が通用しにくくなったのは明らかです。

事業として成り立たせるには初期投資ができるだけ少ないことが大事。
元を取れるかどうか、つまり初期投資がいつ回収できるかどうかをしっかり考えないといけません。

その点、だいまる薬局は二号店をものの見事に失敗しました。
チャレンジ精神とは言い難い失敗であり、これは教訓として永遠に会社の財産 ( 負の遺産かな ? ) となります。
—もちろん帳簿上にもしっかり載ってます。
もし、この失敗が一店目の事業であったら !
結果としては 『 破産 』 しかなかったかもしれませんから、私が経験したのは、ある意味で、恐怖体験です。
考えたことがありますか ?

自分でイケルと思った事業が、はじめたら、実は何もかも失う可能性があることを。

個人薬局を開業するとか、自分で事業を起こすということは、自分の過去の経験をもって計り知れない 「 ものすごいエネルギー 」 を使うことだと思います。

独立は、人生の転機であり、巨大な基盤の変化ですが、実はほとんどの人が、今、自分がいる境遇を嫌がっていても、変化を恐がります。
この大きな変化に対して言い知れぬ恐怖を感じて尻ごみして別な機会を待とうとします。
特に薬剤師のように資格で高給をもらうことに慣れている場合、もっとイイハナシがあるのではないかと思うのです。

ただ、この言い知れぬ恐怖に打ち勝つ一歩を踏み出さないと、個人で薬局を開業することなんてできないし、事業を起こすことも不可能ではないかと思うのです。

大きな恐怖は、大きなチャンスです。

少なくとも、これからは従来の 「 薬局と医院のペアさん 」 という構図は開業の機会になりにくいのは明らかですから、いつなんどき機会が巡ってきても対応できるだけの心構え と、多少なりとも資金を貯めておく事を 常に念頭に置くべきだと思います。

2007.08.13