医薬品過誤を防ぐために今していること

だいまる薬局では、昨年2009年12月に引っ越してからいろいろなことが変わったとおもいます。

調剤過誤についてその怖さや、過誤を起こして信用問題になったときの想定し、投薬する際の責任の重さを自覚し、間違わないようにする様々な工夫をいつも朝礼で話し合い、その都度調剤方法を検証し間違わないようにするにはどうしたらよいかを考えてきました。

そのいくつかをあげると

  • 人間は間違いを犯す生き物であるという認識をもつ
  • 間違いは全員で共有するという意識をもって行動する–なぜ間違ったかを検証しあう
  • 常に自分とほかのスタッフが何をしているかをわからせ、わかるために声を掛け合う
  • 監査台、錠剤台、散薬台の整理整頓をする–いつもきれいにすることでイレギュラーを発見しやすくする
  • 作り方を間違ったときは、薬歴を活用して情報を共有する(情報を視覚でとらえる)–次回の成功のために
  • 患者さまへの気配り・心配りをすることで無用なトラブルからつながる過誤をふせぐ

などなど。
まだまだありますが…

そんな中、トーショーさんの製品で調剤過誤防止システムというものの導入を決めました。

錠剤監査システム:ハンディ端末3台

写真1

散薬監査システム

写真2

いずれのシステムも、結果を監査してくれるもので、データを数か月にわたってとり貯めることで個々のスタッフの間違いの傾向が把握でき、その対策を考える為のツールとしても有用です。【夜中まで立ち上げに協力してくれた後藤さんをはじめとする株式会社トーショーの札幌支店の皆さんに感謝いたします】

機械に使われることがないように、また、機械に過度に頼ることのないようにしましょうというアナウンスは、「人力」ですね。人間はエラーを起こすものだとすれば、エラーを予測してその対策をあらかじめ考える能力は人間にしかないものだと改めて思います。

2010年9月の東京は暑かった

過去にも紹介しましたが、2010年9月4日(土) ?9月5日(日) 医薬品安全管理研修会2010 に出席してきました。

東京も9月になったら少しは酷暑もおさまるかと思って出かけたのですが、なんとその暑い事、暑い事。

それにしても、何百人という人が一堂に会し、2日間びっしりと勉強する姿には驚きました。また、地方に住んでいる人が地方にいることを言い訳にしない事に感銘を受けました。情報は自分で取りに行く、というわけですね。

前回、医療安全講習を終えて会社でその話を紹介しましたが、今回も自腹を切ってという人がとても多かったのではないか?と考えました。病院や、薬局がそんなに出張費を出してくれるとは思えないからです。それでも、勉強しに行く、情報を取りに行く。もはや姿勢の違い以外の何物でもないですね。

だいまる薬局では、自己申告してくれたら出張していいですよ、と伝えています。

じゃ、どこまでお金出してくれるの?と思うかもしれませんね。でも扉を開けるのは先に自分のお金を出してから、その覚悟ができてから、でしょう。これはうちの会社のハードルですね。ハードルを飛ぶ覚悟ができたら、扉をこじ開けたら、道は開けるのではないでしょうか。十分に話し合いする準備はできています。>To:Allスタッフ

医薬品過誤(医療過誤の中で特に医薬品による過誤)をどのように防ぐかという危機管理の在り方を改めて勉強しましたが、特に薬剤師は医師に対して助言者や、忠告者として存在するとのだ、という弁護士さんのお話には目を開かされる思いがしました。そのような責任があるから、高い給料ももらえるし、万が一の時は厳しい処分があるのでしょうね。

何も考えずに仕事をするのは、罪ですね。
改めてそう思った東京でした。

失敗から学習【2009年改】

none_img_column? 2006.01.09

苦情がくることがあります。
病院から、患者さんから、この半年のあいだに

  • 特に月に1-2回の頻度で錠剤の不足
  • 患者さまへの接遇
  • 待ち時間
  • 配達の遅延
  • 一包化の仕方

などなどの苦情をもらいました。
問題の頻度と内容が、危機感を募らせます。

 

対応に苦慮することもありますが、すべてのケースで正直に対応することを求められます。隠すと必ず【露呈・露見】するものです。

おこられることを気にしないのではありません。失敗を隠すのではなく、そこから「学習」し、個人として、会社としての『失敗力』を身につけるのです。

 

【2009年注:先に言っておきますが、今はだいまる薬局にいないほぼ特定の数人の事を書いてます。私にとってはもう時効で、過去の話です。私は当時は隠れてアンポンタン薬剤師と呼んでいましたが、今は隠れる必要も無いので大声でアンポンタンと言わせていただきます。】

当時、まったく学習しない、出来ない社員がいました。
逸話を多く残しましたが、二つ三つ紹介します。

  1. 患者さまに、錠剤の不足が、機械の不調のせいだと言った社員がいました。
  2. この薬は「劇薬です」と患者さまに言った社員がいました。「劇薬」は「劇薬」だから事実です。でも患者さまは劇薬の意味を知りません。この患者さまは、劇薬を「自分の飲んでる薬に対してとても失礼な言い方をした」と理解しました。
    その人間の話し方が「下を向いて口の中でぶつぶつ言い放った」と患者さまに伝わりました。コミュニケーションの基本である「人」対「人」の部分が大いに欠けていた訳です。
  3. 患者さまから「あの人に薬を出させないで」とそっと耳打ちされました。「あの人になってから間違いが多くてね」といわれます。(実際はどうだったのか不明ですが、そもそもその時点でOUT )

みんな免許を持って、給料をとって仕事をしているんだろう!  なぜサービス業でありながら、サービスを提供すべき相手からここまで言われるような仕事振りだったのか、悲しくなります。

患者さまのためにではなく「自分の仕事がしやすいように」、「ミスが発覚しないように」、自分の仕事はここまで、と線引きしたらどうなりますか。

私は、ぞっとします。

当該アンポンタン薬剤師の尻拭いで、ある患者さんのお宅を訪問しました。

お父さんが、「うちの子はこの薬が無いと生きられない。それだけ大事に思っている薬だ。頼ってるんだよ。」といわれました。

 

処方を出した病院からは、もっと強烈に言い放たれました。

「処方をちゃんと入力してるんですね」
「はい」
「監査はやってるんですね」
「はい」
「じゃあ、(そのアンポンタン薬剤師について) 足りないのは錠剤じゃなくて注意力ですね」
「は、はい、ごもっともです」

 

失敗から学習して失敗力を身につける。私個人の場合は、

「猫の手も借りたいと思って、猫以下の人間を採用することは二度としない」

というのがこの半年で得た【失敗力】です。

 

【2009年注: 本当にこの時期は苦しかったです。人材に恵まれないという事が、果たして何のせいなのかわからなかった。変な人ばっかり引き寄せるんです。牽引の法則があるとすれば、私の考えが変だったのでしょうけど、なかなか自分のせいとはおもえないのが人情なんですよね。念のために言い添えると、2009年現在はすばらしい人材に恵まれてます。東苗穂の変な店を閉じて、その後2006年に入った全員が安定して勤めてくれていますから。】

処方箋から先に見る

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?「 調剤するとき、薬から先に見てはいけません、必ず処方箋から先に見てください。」

処方箋から先に見るというのは、調剤監査をするときの基本中の基本ですが、こんな基本を教わったのは、学校の講義ではなく、大病院の薬局長のレクチャーから、でした。

思い込みによる調剤過誤、ということがあります。

薬を先に見てそれから監査しようとすると、思い込み ( 先入観 ) がじゃまをするので順番を間違えないようにしてください、というお話しでした。
現場で監査するときに、大いに役立ちました。

年の初めですから、今、順調に薬局が動いている根本は何か、それを考えてみようと思います。

そして、こんな 基本に立ち返ること?をだいまる薬局の小さな目標にしてみます。
間違いを、監査ミスを、調剤ミスを、減らすには工夫が必要です。そのためには、どうしたらいいのかという認識をみんなで共有しなければいけません。

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ただ漠然と間違わないように、間違わないように、と思いながら仕事をするのではなく、間違わないことが患者さまの最大の利益につながることを意識して仕事をする必要があります。

たとえば、整理整頓、私語を慎むこと( 集中 )、薬剤服用歴の確認、ひとりで確認しない、など 繰り返し繰り返し同じことを何度も何度も話してきていることですが、これからも何度も何度も繰り返し話すことは間違いありません。
慎重にとか、マジメにとか、誠実にとか、これらが薬局の文化になるには、それくらいしつこく言っても足りないくらいだと思ってます。

2008.01.04

レジのお金が合わない事から思うこと

none_img_column? (記事の引越し中です) 2007.03.26

大きな病院と、だいまる薬局のような小さな調剤薬局を比べて、際立って違うのは、医事会計が独立しているかどうか、という事だと思います。

その規模にもよるのですけど、大きな病院の場合は医事課に受付機能と会計機能を専任する職員を配置し、さらに調剤専門の機能を持たせた薬局 ( 調剤所 ) を持ちます。
この人員は相互に補完することはなく、それぞれ独立した部署として存在するのが普通です。
私たちの調剤薬局の場合は、受付、調剤、投薬、会計など複数の業務をスタッフみんながこなし、カウンターの内側でぶつかり合うように仕事をしています。

事務スタッフは、あれもやり、これもやり、かなり大変な仕事だと思います。

もちろん薬剤師も調剤全般をやって投薬し、レジを打ってまた調剤監査に戻るなど、気ぜわしいことこの上ない様子をみせます。

調剤薬局なんてしょせん処方箋と薬の交換所だと思われがちで、事務員1-2名、薬剤師1-2名でまずまずの仕事ができるだろうと考えられるのは、とても心外でありつらいところです。
だいまる薬局の人員は常時、事務3-4名・薬剤師3-4名です。

『 ずいぶんたくさん人がいるんだね? 』 と言われる事があり、ほめられているようであり、意外だなーと思われているようでもあり、複雑な気持ちになります。
「 どうしてそんなに必要なの ? 」 というのが本音の質問ではないでしょうか。

さて、最近(2007年)、だいまる薬局では日次集計の際、レジのお金が、数十円から数百円円くらいの範囲で合わない という事が立て続けに起きました。

これに対して、事務スタッフに負担がかからないかを判断した上で、レジうちを事務スタッフに変更。
その後は、ほぼレジのうち間違いや、おつりの受け渡しの間違いをなくすことができたようであり、日次集計の金額が当然のように合うようになってきました。

私は調剤薬局の経験がこれまで14年ほどになり、手提げ金庫時代も含めてレジで現金をやり取りすることに抵抗がなくなっておりますが、間違えないという自信はありません。

たかがレジの事がきっかけですが、何か考えなければいけないという漠然とした予感めいたものはありました。

  • 違算は薬剤師のミス ?
  • スタッフの間の風通しはいいのだろうか ?
  • みんな声をかけあって仕事してるだろうか ?
  • 仕事が形式めいた作業に成り下がってないだろうか ?
  • 失敗やミスが糧になっているだろうか ?

などなど。。。
少し話を変えますが、私は、薬局の事務スタッフと薬剤師の違いは、
薬剤師は、調剤監査をする職能をもつ事と、薬歴をとりその管理をすることにあり、そのほかの部分の仕事は、免許があるなしに関わらず薬局内の仕事としてやるべきことを分担していると考えています。
( だいまる薬局の場合は、レセプト業務と処方箋の入力は事務スタッフに100%対応してもらっています )

つまり、お金に関することでも、薬が足りないという問い合わせが来たとしても、患者さまのためにこの薬局が存在している以上、同じ次元で対応しなければいけないと思っています。

同じ次元とは、いつも患者さまのためにどうすればよいかという視点にたちながら、待たせない方法で、満足のいく方法で、確実な方法で、検討して決断しなければいけないということであり、これは薬局の屋台骨です。

この視点には薬剤師と事務スタッフの区別があってはいけないし垣根があってもいけない。

ただひたすら患者さまのため、というベクトルを合わせた行動や言動が、必要なことだと思いますし、ベクトルの先に患者さまがいるという事を絶対忘れてはいけないということです。
日々の私の言動や、行動が裏付けるものでなければそれこそ絵に描いた餅ですので自戒しなければいけないところです。

2007.03.26